近ごろでは「イノベーション」という言葉をあまりに多く耳にするため、つい当たり前のことのように受け取ってしまいがちですが、トロにとっては、そんなに軽い言葉ではないのです。なぜなら、100年以上も前にトロという会社が出来て以来、イノベーションはトロの一部なのですから。そこで、2018年を通じて、シリーズとしていくつかの画期的なイノベーションについてお話ししたいと思います。

トロにとって、絶え間ない革新とは常に、お客様の問題に新しい、より良いソリューションを探し求めるということなのです。一つの例を挙げると、トロは代替エネルギーを考えています。実は、トロが初めて全電動のグリーンモアを発表したのは 1928 年にさかのぼります。化石燃料について世界が心配を始めるずっと以前のことです。

この、業界初の全電動グリーンモアは、
トロ社の共同創立者であり、初代の社長でもあったジョン・サミュエル・クラッパーが特許を取得した発明でしたが、ちょっと時代を先取りしすぎていました。しかしクラッパーが取得した特許では、トラクタに電動カッティングユニットを搭載してフェアウェイを刈り込むというアイデアも盛り込まれておりました。

しかも、カッティングユニットだけが電気で回転し自走するというだけでなく、以下のような構成も含んでいたのです:

  • カッティングユニットの列間を小さくすることによって「縁石に沿って刈り込みするときに刈り残しを作らず、またターフを傷つけない」
  • カッティングユニットの列間を広げることなく、各ユニットに集草バスケットを搭載する
  • カッティングユニットを簡単に取り外してユニットの数を自在に変更 — 通常は三連で使用するが、ユニットを一台追加、さらにもう一台追加して五連まで拡張可能に
  • カッティングユニットを地表面から浮かせるためのシンプルな工夫により「カッティングユニットを動作させずに旋回動作やその他の動作をできるようにする

クラッパーは、移動見本市が開催される先々でこういったアイデアを紹介し、ゴルフ場業界に大きな話題を呼びました。実際に、デトロイトニュースでは「芝刈り機分野における最高のアイデアの一つ」と称賛したのです。残念ながら、手動制御モデルには電気コードが必要であり、芝刈り現場に電気コンセントがない場合には発電機を用意しなければならないという限界があったために、デザイン的に垢抜けない点が多少あったことは否めないのですが。そしてもう一つ残念だったことに、当時はクリーンエネルギーに対する需要があまりなかったのです。そんなわけで、この電動グリーンモアは商業的には成功を収めることができませんでした。

イノベーションの歴史
いまお話しした世界最初の電動グリーンモアは、クラッパーの数多くのアイデアのほんの一つにすぎません。別の例を挙げると、クラッパーは当時普及し始めていた農業用トラクタを、ガソリンよりも安価な灯油で走らせることを考えました。また、現代の皆さんからみたら、きっと世界初めてのフェアウェイ用イリゲーションシステムあるいはスポートフィールド用のイリゲーションシステムと呼べるものも発明しています。

クラッパーは生涯を通じて発明家でありつづけ、全部で16の特許を取得しました(特許を取っていない発明もあります)が、彼はいわゆる工学系の教育は受けていなかったのです。しかし、より良いものを求める姿勢をいつも持っていました。そしてそれが彼の経営姿勢でもありました。そうして出来上がったのが、トロとゴルフ場業界との関係であり、そこから何十年にも及ぶイノベーションの歴史が続いてきたのです。

トロの最近の代替エネルギーソリューション
トロのイノベーション製品は、トロの歴史を通じて会社の礎石であったといって良いものです。全部で 9 人いるトロの CEOの中で工学の学位保持者はたった 1 名しかおりませんが、9人のうちの 7 人が特許取得者。トロの企業文化を象徴する事実です。イノベーションはトロの伝統であり、それが今日の代替エネルギーソリューションにつながります。

まずは、Toro® Workman® e2050。トロが初めてプロフェッショナル仕様として世に送り出した電動車両です。この e2050 を土台として現在の、グラウンド用ターフ用のクロスオーバー車両である Workman GTX(48V の電動車両)が誕生します。ワークマン GTX は、用途や作業に応じて 300 種類以上ものユニークな構成が可能である上に、業界で唯一の高級サスペンションとブレーキシステムを備えており、滑らかな走行と快適な乗り心地が際立っています。

トロはまた、この業界で初めてリチウムイオンバッテリーを採用した歩行型グリーンモア、Toro Greensmaster® eFlex® を上市した企業でもあります。素晴しく高効率、驚くほど静か、二酸化炭素の放出ゼロ、軽減された保守整備、1 回の充電で最大 9 グリーンを刈り込める。eFlex は本物のイノベーションです。また、特許を取得したフレックスサスペンションを採用して地表面に滑らかに追従し、DPA(デュアル・プレシジョンン・アジャストメント)カッティングユニットが正確でズレない調整を実現しています。

次は Greensmaster TriFlex® ハイブリッド。歩行型マシンと同じ精密さでグリーンを刈れる初めての乗用グリーンモアです。トリフレックスハイブリッドモデルでは、信頼性の高いオール電動リールを採用し、グリーンだけでなくグリーンの外での作業にも使える強力なモータを採用した、トロだけのカスタム設計です。また、ユニークなダブル A アームサスペンションシステムによって、業界最高のフレックスユニットを懸架していますので、どのような地表面にもカッティングユニットが自在に追従し、素晴らしい刈り上がりを実現します。

そしてもう一つのゲームチェンジャーは Reelmaster® 5010-H、業界発の真正ハイブリッド駆動システムを実現したフェアウェイモアです。走行負荷も刈り込み負荷も常時変化する中で、パワーマッチ技術を搭載したリールマスター 5010-H は、その変化に合わせて必要な時に必要なところに途切れなく適切にパワーを供給します。さらに、カッティングユニットが油圧駆動から電動に代わったことにより、ホース、フィッティングなど、オイル漏れの発生可能箇所が100箇所以上も減っています。

今ご紹介した製品は、出井帯エネルギーというテーマに沿ってトロが本気で取り組んでいるイノベーションから生まれたわずかな例にすぎません。トロの代替エネルギーソリューションについてさらに詳しい情報はこちらへ:toro.com