ターフ管理機械はゴルフ場において最も大きな設備投資です。機械が老朽化し、それに代わる新しい機械を選定する時には、支配人、グリーンキーパー、ゴルフディレクター・PGA プロなどが相互に意見を交換することが重要です。

予算削減の基調が続き、各ゴルフ場ともにより少ない予算でより多くの管理作業を行うことを強いられている昨今では、どうしても必要になるまでは買い控えたいという気持ちに傾きがち。しかしそのデメリットも考えなければならないでしょう。

投資不足になるという問題
機械が古くなるほど、多くの維持コストが必要となります。古い機械ほど、より多くの整備や修理が必要になってくるからです。また、部品にも寿命があります。そして整備中はその機械を使うことができない、すなわちダウンタイムが発生します。こうしたことをすべて織り込んだ機械の更新計画・予算を手当しておくことが非常に重要なのです。機械が使えなくなってしまってから大決断を下すというのは決してよい方法とは言えません。

なぜ将来計画が必要か?
機械への設備投資がもたらすメリットは非常に大きいのです。たとえば、新しい機械を導入するということは、ゴルフコースに最新の技術を投入するということを意味します。能率アップに加えて、刈り込みパフォーマンスの向上や燃費の向上といったメリットが付いてくるのです。こうしたメリットが何であれ、管理予算や運営予算に余裕が生まれるわけです。

「私たちはディストリビュータとしての立場からお客様のパートナーになろうと頑張っています。それは、お客様が経費を最も有効に使えるようにアドバイスすること」と語るのは、米国ニューバージニア集のロイヤル・リーシンクの専務ルーン・ハイルケマ氏。「お客様の機械の様子を注意深く見ていて、たいていの場合、数か月とか数年前から、更新計画を提案し、お客様が余裕を持って予算を手当てできるようにしています」

ハイルケマ氏によれば、こうした予算手当にははっきりとメリットがあるとのこと。 「第一には、年々増加する整備修繕コストを減らすことができるということ。そして新技術を搭載した機械を入れることで、ボトムアップできる、つまりレベルアップできるということです」

一般的におすすめできること
どんなゴルフ場でも、将来を見据えた機械更新計画、五年計画程度のものを持つべきでしょう。手持ちの管理機械のすべてについて更新予定時期を設定し、それに必要となるコストを見積もっておくことが大切です。そして毎年その計画の見直しを行うのです。

この計画の策定に当たっては、優秀な整備士の意見を取り入れること、すなわち、整備に必要となるコストの見積もりもきちんと入れておくことが重要です。

購入決定
予算を手当てしておくこと、予定を立てておくことが大切ですが、さて、更新時期が近づいてきたら、何を目安に購入の決断をしたらよいでしょうか?ここで気を付けたいことがいくつかあります:

• 機械の生涯コストを考えること機械そのものの値段だけで決めてしまうのは考え物です。全く同じ値段の機械であっても、その生涯コストに大きな差が生まれるのは普通のことです。生涯コストを考える時に検討すべき要素は:
– 手元に置いておく必要のあるパーツ在庫
– ハイブリッド機器や電動機器などに適用される優遇税制
– 多様性 – すなわちアタッチメントやアクセサリを追加することで別の仕事に使えるといったメリットがないか?
– ランニングコスト – これには燃費の違い、パーツの交換寿命などが関わってきます
– 保守コスト – 整備費、パーツ代、人件費、ダウンタイムなど
– 使いやすさや運転に必要な熟練度、整備のしやすさ
– パーツの入手しやすさ、メーカーからのサービスやサポートの充実度などがあります

• 整備の必要度。 新しいマシンほど技術的に高度な製品となっており、それに応じて整備士にも高い電気知識や修理技術が求められるようになります。新技術を使うということは、それを取り扱う人への投資、あるいは良いサービスを提供できる代理店が必要になるということです(下を参照してください)。

• 整備担当窓口現在では、ゴルフ場に代わって整備計画を提案してくれるディストリビュータが増えています。整備スタッフが足りないという場合には、こうしたサービスを使うことができます。

• レンタルやリースの活用。これも、最近ますます一般化してきている選択肢です。金利が低い現在ではこれが大きな魅力になっています。リースを利用すれば、機械の調達・使用のためのコストが月々の定額の支払いとなり、それを長期間にわたって固定しておけるという大きなメリットがあります。倶楽部予算のやりくりが楽になり、収入の季節変動などにも柔軟に対処できるようになります。

整備窓口を決めておくことにも、同じような大きなメリットがあります。機械を直接買い取るのに比べて支払い総額は増加しますが、キャッシュフロー管理が楽になり、また機械入れ替えもより柔軟にできるようになるなど、検討の余地は大きいと言えます。

• 標準化機械のメーカーを1つに絞ることでも大きなメリットが得られます。具体的には:
– 共通部品が多いので手元に置いておくパーツが少なくて済む
– 整備面での効率がアップし、運転方法が似通っているのでオペレータの習熟や安全にも効果がある
– トレーニングの時間やコストが少なくて済む
– 安心度が上がる – これまでの使用履歴やディストリビュータとの関係から将来が読みやすくなり、大きな不安を抱かずに済む

長期計画の策定、特にコースにとって最大の設備投資である管理機械に関する計画の策定に当たっては、支配人、グリーンキーパー、ゴルフディレクター/PGA プロなどの意見を十分に聞いていくことが大切となります。

最後に、管理機械の長期計画は、より大きな視野で考えることが成功の秘訣と言えます。機械の生涯コストにどんな要素が入ってくるのかを知り、その機械の価値をはっきり理解しているほど、将来を適切に見据えることができるわけです。